2015.04.10
逆輸入版|Asics Tiger ×Undefeated Gel-Lyte V
仕事としてスニーカーに携わり、少なくとも他では取扱いのできない商品も多数お店に並べる事ができるので、ある程度色々なスニーカーを履く機会には恵まれている方だと思います。
ただ、メジャースポーツブランドの中で、唯一スニーカーとして履いた事がなかったブランド、それは〈アシックス〉でした。その理由は単純。長年にわたってスポーツシューズとしてのイメージが強く、タウンユースで履いてみたいと思えるモデルに縁も知識もありませんでした。
〈アシックス〉と言えば、今も昔もアシックスのサッカースパイクのトップモデルに君臨する「インジェクター2002」か、『スラムダンク』で山王の沢北が履いてた「ポイントゲッター」とかって答えるぐらいのレベルです。
しかし、ここ数年ほど前から真しやかに「何やら海外ではアシックスが盛り上がっているらしい」とか「何やらゲルライトがヤバいらしい」との噂が頻繁に耳に入るようになっていました。
そうこうしていたら、日本のブランドであるはずなのに日本国内で正規展開が全くない「ゲルライト」シリーズが並行輸入で突如として流通するようになっていました。中1の頃に経験した「エア マックス」ブームと並行して流行していた「G-SHOCK」なんかに見られた、いわゆる “逆輸入” の図式です。
日本のメーカーである〈カシオ〉の「G-SHOCK」が先に海外での人気に火が付き、それがブームごと日本に輸入されてやってくる。古き良きものを大切にしつつも、新しいものにはひと際執着する。さらに履き心地やカラーリングにもひと際うるさい外国人を唸らせるクッション性の良さと柔軟なカラーパレットとくれば、人気に火が付くのもうなずけます。
なぜならそれは、日本人に古くから息衝くアイデンティティと美的センスがプロダクトの根幹にしっかりと根づいているからに他なりません。事実、灼けるような日差しと乾いた風が印象的なSILVERLAKEのUNDEFEATEDでセレクトされ、カリフォルニアの空気感に包まれた〈アシックス〉のスニーカーを見た時、日本人の目から見ても凄く新鮮に映る光景だったことを思い出します。
そんなスポーツとミリタリーを好むうちのコラボレーションモデルは、ここ東京のアスファルトの上でも輝きを放つお気に入りの逸足です。