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2015.05.8

NIKE AIR HUARACHE

1987年に発表された〈ナイキ〉の「エアマックス1」を筆頭に、80年代中期から後期にかけて各ブランドは独自の衝撃吸収テクノロジーを発表し、「クッショニング戦争」と呼ばれていたが、90年代初期になると競合の場はミッドソールからアッパーへと変化。テクノロジー競争がクッション性からフィッティングへと変更になった。

 

1989年末のサンクスギビングのタイミングでは、〈ナイキ〉がエアプレッシャーを、〈リーボック〉がザ・ポンプを発表し、スポーツシューズ業界における「フィッティング戦争」が勃発。両モデルともアッパー内部に空気を適量送り込むことでシューズと足の一体化を図ると仕組みで、つま先を除くアッパー全体でカスタムフィットが可能だった〈リーボック〉が、足首部分のフィット感だけを追求した〈ナイキ〉をセールス面では圧倒。〈リーボック〉がポンプ搭載モデルをバスケットボール以外にも急拡大したのに対し、〈ナイキ〉のエアフィットステムは、エアコマンドフォースなどに搭載したのみで、以後このテクノロジーは採用されなかった。

 

一方で〈ナイキ〉は新たなフィッティングシステムの開発に着手する。それが1991年に正式発表され“ハラチフィットシステム”である。このテクノロジーはネオプレン製のシュータンとライニングが一体化したブーティを採用することで、シューズと足の高いフィット感の実現に成功。ハラチとはメキシコの伝統的なサンダルであるワラッチからのネーミングであり、デザイナーのティンカー・ハットフィールドは、のちに「メキシコの伝統的なサンダルと同様に水上スキーのネオプレン製ブーティもデザインの大きなインスピレーションになりました」とコメントしている。エアハラチは快適な履き心地でランナーを魅了し、その高い機能性からハラチフィットはバスケットボールの「エアフライトハラチ」、クロストレーニングシューズの「エアトレーナーハラチ」にも搭載された。

 

そんな「エアハラチ」だが、ヨーロッパ市場を中心に復刻モデルがストリートシーンでポピュラーとなっていたが、今年に入って豊富なカラー&マテリアルバリエーションがリリースされることにより日本でも人気が急上昇。ベーシックでありながら存在感のあるデザインは、男性だけでなく女性からの支持も集めることに成功している。

Nike_Air_Huarache_original

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