2016.03.2

＜SUPRA｜スープラ＞スケートシューズの機能性をバックボーンにクリエイティビティの限りを詰め込んだシューズブランド

■CHAD MUSKA

タンクトップ、ルーズなナイロンパンツを身に纏い、ハンマートリックやレールトリックをトレードマークに、90年代のスケートシーンを大いに賑わせ、鮮烈なデビューを飾ったプロスケーターの”CHAD MUSKA(チャド・マスカ)”。

彼のライフスタイルにおける数々の仰天エピソードや〈Shorty’s（ショーティーズ）〉のヴィデオパートで魅せた、バックパックを背負いブーンボックス（ラジカセ）を抱えたまま、パークライディングをする彼の姿が印象的で、今でも脳裏に焼き付いています。

若くしてインディペンデント・カンパニーにフックアップされ、その後は大手のカンパニーまでを渡り歩いてきたチャド・マスカ。過去には〈éS Skateboarding（エス・スケートボーディング）〉や〈CR1CA（サーカ）〉からも自身のシグネチャーシューズを発表してきました。

そんな彼を中心に、旧友のプロスケーター”ERIK ELLINGTON（エリック・エリントン）”や、ウェアブランド〈KR3W（クルー）〉のオーナーらとともに、2006年カリフォルニア・コスタメサで誕生したシューズブランドの〈SUPRA（スープラ）〉に今回はフォーカスしてみたいと思います。

■SUPRAとは？

〈SUPRA（スープラ）〉は、これまでにないモノを生み出したいというコンセプトの元、既存のシューズブランドには存在しなかった個性的で斬新なデザインがスケーターを中心に話題となり、創立から2年目にして確固たる地位を確立していきます。そんな中、チャド・マスカ自身が興味を持ち、ハイファッションの影響を取り入れデザインを施したシグネチャーモデル『SKY TOP（スカイトップ）』が爆発的ヒットとなり、そのブランド名は音楽やアートなど様々なカルチャーの垣根を越え浸透し、多くのファン、フォロワーが誕生していきます。その勢いを追いかける様に、これまでに”JAY-Z（ジェイZ）”、元ガンズアンドローゼスの”SLASH（スラッシュ）”などのミュージシャンとコラボモデルをリリースし、世界中で話題になりました。その後もラッパーの”LIL WAYNE（リル・ウェイン）”や”DJ STEVE AOKI（DJスティーブ・アオキ）”ともコラボモデルを発表、多くのアーティストやセレブ、プロアスリートやダンサーから愛されるシューズブランドヘと成長を続けています。

これまでの歴代コラボモデルの一部をご紹介。

■SUPRA S1W　Lil Wayneコラボモデル
グラミー賞の受賞歴もある世界的ラッパー”Lil Wayne（リル・ウェイン）”は、無類のスケートボード好きなのは有名な話で、〈DGK（ディー・ジー・ケー）〉の”STEAVIE WILLIAMS（スティービー・ウィリアムス）”を通じて〈SUPRA〉とのコラボモデルを発表している。
※参考商品

■SUPRA BACK WOOD　MOBB DEEP コラボモデル
HIP HOP好きなら知らない人はいないであろう、N.Y QUEENS出身の”PRODIGY（プロディジー）”と”HAVOC（ハボック）”の2人で結成されたレジェンダリーHIPHIOPデュオ”MOBB DEEP（モブディープ）”とのコラボモデル。
※参考商品

■SUPRA SKYTOPⅡ　Samantha Ronson コラボモデル
”BrunoMars（ブルーノ・マーズ）”をフィーチャリングして大ヒットした「アップタウン・ファンク」のプロデューザー”Mark Ronson（マークロンソン）”を兄に持ち、自身もシンガーソングライター、DJとして活躍する”Samantha Ronson（サマンサ・ロンソン）”とのコラボ。
※参考商品

■SUPRA SKYTOPⅡ　JUST BLAZE コラボモデル
”JAY-Z（ジェイ・ジー）”の主要作品にプロデューサーとして参加後、数々のヒット曲を産み出してきたスーパープロデューサー”JUST BLAZE（ジャスト・ブレイズ）”とのコラボ。スニーカーマニアとしても有名な彼とのコラボは全面リフレクターが採用された。
※参考商品

そんな〈SUPRA（スープラ）〉のシニアデザイナーを務めるチャド・マスカが、これまでの様々なインタビューで語っているように、長い時間プロスケーターとして積み上げてきた経験が、物作りに影響を与えていると話しています。スケートボードでセクションを攻略するときのエネルギーや思考、トリックをメイクするまでの精神力や忍耐力などが、他の分野のクリエイティブにも適応する事を学んだそうです。

そんな観点からブランドコンセプトや物作りの根底には、必ずスケートボードのメンタリティが存在し、それらがプロダクトとして構築、具現化されていきます。そういったアイデンティティを詰め込んだシューズやデザインが、スケートボード・シューズという存在を越えて様々な人々を魅了しているようです。

そのバックボーンでもあるスケートボードシーンを支える、〈SUPRA〉のスケートチームには”チャド・マスカ”はモチロン、彼とともに長年ファミリーの様にスケートライフを過ごしてきた”ERIK ELLINGTON（エリック・エリントン）”や”ジムグレコ（JIM GRECO）”、イギリス出身で〈Flip（フリップ）〉に所属する”TOM PENNY（トムペニー）”、リザード・キング、ブー・ジョンソン、〈PALACE SKATEBOARD（パレススケートボード）〉のライダーでもある“LUCIEN CLARKE（ルシアン・クラーク）”など、多くのトップスケーターが所属していることからも、その性能やブランドへの信頼の高さが伺えます。

※上段左からチャド・マスカ、エリック・エリントン、ジムグレコ、トム・ペニー、リザード・キング、ブー・ジョンソン・ルシアン・クラーク

■MUSKA BEATS

スケートボードとともに、グラフティ、ブレイクダンスやアートなど多くのカルチャーに触れ、多感な幼少期を過ごした彼は、スケートボード以外でも多彩な才能を発揮してきました。2002年には、POWER BOOKと音楽ソフト、サンプリングマシーンMPC2000と、キーボードを駆使して制作したインストルメンタル・ビートとともにN.Yを訪問。自身が宿泊するSOHOにあるグランドホテルの部屋へ録音機材を持ち込み、簡易的なレコーディングスタジオを作り多くのラッパーを招いて制作されたアルバム『MUSKA BEATZ／マスカビーツ』を制作します。”WU-TANG CLAN（ウータンクラン）”の“REAKWON（レイクウォン）”、”U-GOD（ユーゴッド）”、HIP HOPカルチャーのパイオニアである”AFRIKA BAMBAATAA（アフリカ・バンバーター）”に”KRS-ONE（ケアレス・ワン）”、”PUBLIC ENEMY（パブリックエナミー）”の”FLAVOR FLAV（フレイヴァ・フレイブ）”を始め14人のレジェンド・ラッパーを招き入れ、たった2週間の間に制作したアルバムを自身のレコードレーベル『1212 Records』からリリース。さらに発表したアルバムから数曲が、当時の人気ゲームソフト『TONY HAWK’S PROSKATER4™（トニーホークズ・プロスケーター4™）』のサウンドトラックにも採用され、その音楽センスの高さも評価されました。

そして今現在、膝や背中の故障によって、スケート活動の休止を余儀なくされているチャド・マスカですが、新たな表現の方法1つとしてセメントを使った彫刻、スカルプチャーを制作・発表しアーティストとして新たな活動をスタートさせています。これまでに数回の個展開催や作品発表をするなど、彼個人の今後の活動にも注目していきたいです。

■Chad Muska’s Skytop IV From SUPRA

今回は〈SUPRA（スープラ）〉のシニアデザイナーである”チャド・マスカ”にフォーカスしたエピソードを多数お届けしました。ココでは語りきれないほど多くのトピックスなどとともに、設立10年目を迎えた〈SUPRA（スープラ）〉ですが、スケートボード・シューズの枠を超え人気シューズブランドに成長した事は、多数のコラボレーション、ジャンルを超えたファンの多さが物語っていると思います。

現在、ニューヨーク、パリ、サンタモニカの海外店舗に加え、国内ではダイバーシティお台場、渋谷PARCO、ビブレ横浜、大阪EXPOシティと、次々にヘッドショップを展開し、ますます目が離せません。最後に、編集部の独断と偏見でセレクトした〈SUPRA（スープラ）〉新作シューズの一部を紹介。これ以外にも多くの注目モデルがリリースされていますが、それらは是非、東京・横浜・大阪のヘッドショップで試してチェックしてみてください。