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2016.03.19

DISKAH HAND DRAWING SHOES III.

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スケートボーダー、写真家、ペインティングアーティスト『DISKAH』

 

『スケートボードとアート』の蜜月関係って言うっていうフォーマットが、いまほど一般的ではなかった時代から、スケートボード × アートの先駆者・体現者の一人として活動を続ける『DISKAH』。今回はそんな彼が手掛けるシューズ・プロダクトと作品にまつわるお話です。

 

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幼少期に兄の影響からサーフィンを始めると、その後スケートボードでもスキルやスタイルを遺憾なく発揮し、80年代後半に入ると国内でプロスケートボーダーとして活動を始めます。その後、90年代を迎えると彼の活動の幅は広がりと勢いを増していきます。寝食をするかのごとくスケートボードをし、写真を撮り、絵を描くその姿勢に、スケーターはもとより多くのフォロワーが誕生していきました。そして90年代後半、街へ産み落した絵がキッカケで、バンド『Hi-standard(ハイ・スタンダード)』の垂れ幕デザインを担当。これがアーティストとしての活動の発端となり、そのキャリアを本格的にスタートさせる事になります。

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近年、彼が発表・リリースしてきた作品集、ファンジンや個展のフライヤーの一部。(著者私物)

 

独学による試行錯誤の繰り返しから身に付けた撮影技術やドローイングの手法から生まれる彼の作品は、スケートボードやストリートでの体験を元に紡ぎ出されアウトプットされていきます。これまでにアパレルブランドやCDジャケットでのデザインワークはモチロン、『GOOGLE(グーグル)』『NIKE(ナイキ)』『GYLE(ジャイル)』『GU(ジーユー)』などの、ナショナル・カンパニーヘの作品提供といった幅広い作家活動を行ってきました。僕が意識して彼の作品に触れたのは、バンド『Hi-standard(ハイ・スタンダード)』が2000年に発表したアルバム『Love is a Battlefield』のCDジャケットでした。当時、編集者の一人として関わっていた雑誌で組まれた、彼主催のスケートツアー特集記事を目にした事で、この作品の作者が『プロスケートボーダー田中大輔』と同一人物である事へと紐づいていきました。

 

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<Hi-STANDARD/ハイスタンダード>が2000年に発表したアルバム『Love is a Battlefield』

 

当時から今もなお、変わらずにブレる事なく送ってきた表現活動は、一言ではまとめきれないほど多様で多岐に渡り、『DAISUKE TANAKA』『DISKAH』『Dee』『DAIKON』とそのプロジェクトごとに応じた作家名がいくつか存在するようです。そんな彼が先日、横浜のセレクトショップ『RAH(ラー)』で開催した個展『DISKAH HAND DRAWING SHOES EXHIBITION”RIP IT UP” at RAH.』で展示していたシューズと、関連する作品を取り上げてみたいと思います。

 

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左からtextile bk / textile / oiler / KILLY BIRD

 

今回展示された作品の大半は、良い意味でラフ&ルーズとも言える、独自のフリーハンドによるラインをベースに、印象的なキャラクターやメッセージを描き上げています。彼のドローイング作品全般に言える事ですが、作家活動の初期から現在に至るまでの不変的な作風をベースに、想像を超える多種多様な手法、時には実験的とも言える描き方を駆使しています。コミカルで愛らしい作風に反し、表現の自由をコンセプトに時代風刺やアンチテーゼ、普段口にしづらい皮肉から社時的な事柄、身の回りで起きる様々な出来事を自身のフィルターを通して描き下ろしています。

 

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シューズは写真の『ホワイト』『ネイビー』に加え『ブラック』の全3色展開。リミテッドのキャンバズ・バッグが付属する。
DISKAH DRAWING SHOES Ⅲ 各¥12,960(taxin)
問い合わせ:RAH

 

そして、展示・発売されたハンドドローイングシューズには、そんな作中に登場するいくつかのキャラクター、レターやアイコンが規則的に並べられ、一環性を保った総柄的にデザインされています。彼がシューズ・ドローイングを始めたキッカケは、プロスケートボーダー当時、彼のシューズスポンサーだった〈VANS〉のスリッポンへ手描きし、展示・販売したのがそもそもの始まりで、2005年頃に参加したグループ展での初出品を皮切りに、個展の度に発表をしてきているようです。

 

彼曰く、「そもそも日本で初めてスリッポンと呼ばれる靴を見たのが、今回のベースにも使っている通称『ドリフ靴』と呼ばれる安価なスリッポンで、昔は自分もスケートに使用していろんな思い入れもあった事から、最近はブランドに拘らずこの靴に絵描くことがほとんどです。昨年あたりから、展示のタイミング以外でも受注で販売する事が増えてきたのですが、MAD.TK.の販売店である『RAH』での個展を開催するタイミングで、リミテッドのキャンバス・バッグを作ったり、シルクスクリーンポスターの販売や発注をしてくれた人の希望するイニシャルをデザインの中に入れたりと、新しい試みにも取り組んでいます。」

 

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KILLY BIRD_T / KILLY BIRD_I
MAD.TK. KILLY BIRD Tshirt -H.Grey- ¥5,400(tax in)
MAD.TK. KILLY BIRD Patterned all over I Phone Case (5 5s) -Black- 4,320円(tax in)

 

シンプルだが印象的で、一目で中毒性を生む彼の作品の一部は、『狙い過ぎず、狙い逃さず』『自分に問いかけながら追いかけ、関心から歓心』といったコンセプトを掲げ、自身の作品を生活に身近なプロダクトへ落とし込む『MAD.TK.(モダンアートデパートメント•トウキョウ)』と言うレーベル名を冠し、試験的に様々なプロダクトがリリースされており、手頃な価格でアート作品に触れる事を可能にしています。

 

作品に対峙すると、思わぬ気付きやニヤッとなってしまう、愛らしくもシニカルな彼の作品やプロダクトが気になった方には、関連サイトのチェックをオススメします。

 

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●アーティストプロフィール
“DISKAH” DAISUKE TANAKA
1980年後期からプロスケーターとして活動し、1990年後期に街に描いてた絵がきっかけで『Hi-standard(ハイスタンダード)』の垂れ幕のデザインを担当させてもらったのがアーティストとしての活動の発端。プロスケーター活動を辞めたタイミングくらいの2002年、代官山にあったセンブランスというお店で初個展をDISKAH名義で開始。

 

■more info
DISKAH:http://www.diskah.com/

■SPECIAL THANKS
RAH:http://www.hellorah.com/

 

現在、『RAH』のサイト内では特設ページを開設し、先日行われた展示の詳細が掲載・解説されている模様。プロダクトやシューズが気になった方はコチラをクリック。

 

 

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