2015.03.10
NIKE AIR MAX 95 [ナイキ エア マックス 95]
日本におけるスニーカーの歴史で「ブレイク」という単語がピッタリあてはまるモデルは、なんといっても「ナイキ エア マックス 95」で間違いないだろう。
このモデルのテクノロジー面でのエポックメイキングな点は、史上初めてフォアフット(前足部)のナイキエアがビジブル(視認)化されたことだが、「エア マックス 95」を語るうえで決して忘れられないのが、その斬新なデザインである。
ナイキのデザイナー、セルジオ・ロザーノは、それまでのエアマックスシリーズとは全く異なるアプローチで、このモデルをデザインした。彼は人体のパーツをスポーツシューズのディテールに採用。アッパーの盛り上がりは筋肉の隆起を、アウトソール中央部のプラスチックパーツ部分は背骨をモチーフにした。
こうしてデザインされたエアマックス‘95は、当初守旧派のバイヤーたちからは「いままでのエアマックスとはデザインが違いすぎる!」とソッポを向かれたが、リリースからしばらくが経過して、ストリート誌で集中的に紹介されたり、著名クリエイターのお気に入りとしてピックアップされると日本市場で大ブレイク。単なるスニーカーブームを超越し、このモデルをターゲットとする強奪事件、通称「マックス狩り」が起こるなど、社会現象となった。
アメリカでも高い人気を誇ったが、日本ほどではなく、この頃から日本主導のスニーカートレンドが発信されるようになったのである。
あれから20年が経過し、エアマックス’95は現在もスニーカーシーンで高い人気をキープしているが、今もそのデザインは古さを全く感じさせない。それはセルジオ・ロザーノによるクリエーションが、いかに先進的だったかということを証明しているのではなかろうか。